bluesmokesilent

ある男の日常をジャズレコードとともに|4コマ+ジャケット模写| 4 panel comic inspired by JAZZ records|reproduction of album art with pen and ink

BLUE SMOKE SILENT|EP.32|Sing Me Softly of the Blues

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1本のナイフ。それを少年が手にしたなら、彼は他傷行為へと向かういっぽう、少女が手にしたなら自傷行為へと向かうように思います。それは1つの傾向としてですが、理由はおそらく、男にとっての世界は他者にあり、女にとっての世界は自己にあるから。僕にはそんなふうに思えます。そしてカーラ・ブレイの手によるこの素敵な曲にもまた、どこか自傷的な雰囲気があるように感じられます。そうしてつけられた裂け目から、彼女たちが何を見ているのかは、おそらく彼女たち自身にも分かっていないはずです。

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少女が髪を切ったときに口ずさんだ曲のアルバム|Sing Me Softly of the Blues

Art Farmer(f.hr.)
Steve Kuhn (p)
Steve Swallow (b)
Pete LaRoca (ds)

Atlantic(SD 1442)
1965

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知的であると形容されることの多いアート・ファーマーですが、ソフトな音色と優美さを、いつでも携えて歩いているイメージがあります。それでいながら、いつでもしなやかな切れ味の鋭さを持っている。普通であれば、破綻する危険と背中合わせにしか得られないものを、ソフトにクールに彼は手にしています。そんなところが、知的と言われる理由でしょうか。知性の特徴の1つには、いつでも相反する命題を視野に入れておくという態度がありますが、彼の演奏からもそうした背反性を感じます。ソフトではあっても、イージーではない。優しさの奥には、海を前にナイフで何かを切り裂いたような厳しさや激しさがある。もしも僕がトランペッターだったらなら、彼のように吹きたいです。