bluesmokesilent

ある男の日常をジャズレコードとともに|4コマ+ジャケット模写| 4 panel comic inspired by JAZZ records|reproduction of album art with pen and ink

BLUE SMOKE SILENT|EP.18|Empty Pockets

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少年時代は、いつだってポケットは空っぽだったし、空はいつだって青かった。と言ってしまうと、あまりにも出来が良すぎるように感じるのは、拗ねた大人になってしまったからでは、きっとないように思います。むしろ少年時代のほうが、少年の心からは遠かった。信じる心や純真さといったものは、ある試練を受けたときにはじめて、心の中に立ち現れるのではないか。だからこそ少年を描けるのは、大人になった元少年ではないかと思います。

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少年が男の店の前を通ったときに聞こえてきた曲のアルバム|Takin' Off

Herbie Hancock (p)
Freddie Hubbard (tp)
Dexter Gordon (ts)
Butch Warren (b)
Billy Higgins (ds)

Blue Note(BLP 4109)
1962

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ハービー・ハンコックの演奏を聴くたびに、なんてスマートで聡明な人なんだろうという思いを強くします。明瞭でいながらしなやかなタッチ、揺るぎないリズム、モダンでクールな和声感覚、複雑にもシンプルにも振り替えられるフレージング。器用といえば器用で、いわゆる器用貧乏になる危険性をはらんでいると思うのですが、そうならないのは、彼の核心に一種の清冽さがあるからかもしれません。このアルバムにも収められているヒット曲"Watermelon Man"は子供の頃に聞いたスイカ売りを元に作られていたり、数年後に発表する"Speak Like a Child"など、どこか意識的に自身の内にある少年性の土壌を掘り、水脈を湧き出させているような印象があります。とにかく何を聴いても、ハービーはスマートで聡明。成熟した少年のまなざしを感じます。