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ある男の日常をジャズレコードとともに|4コマ+ジャケット模写| 4 panel comic inspired by JAZZ records|reproduction of album art with pen and ink

BLUE SMOKE SILENT|EP.34|I Can't Get Started

とくにロリンズの名演というわけでもないのですが、男同士の甘噛みにもふさわしい曲かと思い、選んでみました。邦題の『言い出しかねて』は、名訳と呼ばずして何と呼ぶ…というくらい、よく出来てますよね。ロマン主義の本質は、その距離感にこそあるようです…

BLUE SMOKE SILENT|EP.33|C Jam Blues

ソーッ...ソーッ.ソーッ.ソーッ.ドッという、エリントンによるとってもシンプルな曲。シンプルなものこそ難しい…かどうかは分かりませんが、容れ物としての大きさは感じます。もしも僕がジャズミュージシャンなら、この曲に関してはベースを弾きたい。気分良…

BLUE SMOKE SILENT|EP.32|Sing Me Softly of the Blues

1本のナイフ。それを少年が手にしたなら、彼は他傷行為へと向かういっぽう、少女が手にしたなら自傷行為へと向かうように思います。それは1つの傾向としてですが、理由はおそらく、男にとっての世界は他者にあり、女にとっての世界は自己にあるから。僕に…

BLUE SMOKE SILENT|EP.31|Cool Bunny

僕自身はかつて少年であり、少女がどんな世界に住んでいるかを想像する際には、最も深く知る女性である妻を通すことになります。あとは母と姉、次いでそれなりに深くつきあってきた女性たち。彼女たちに共通する1本の糸をたぐり寄せていくと、少女時代の漠…

BLUE SMOKE SILENT|EP.30|Cool Struttin'

キスの意味合いは、男女でかなり異なるように思います。その違いを心得ておくことは、深い意味で性を離れることのできない僕たちにとって大切なことだろうと思っています。男にとってのキスが相手へと向かうのに対し、女にとってのキスはむしろ自分自身へと…

BLUE SMOKE SILENT|EP.29|Stars Fell on Alabama

1833年11月にアラバマで観測された、大規模な獅子座流星群にオマージュしたラブソング。"A fairy land where no one else could enter/And in the center just you and me(誰も立ち入れないおとぎの国/そのただ中には君と僕)"だなんて、夫婦喧嘩は犬も…

BLUE SMOKE SILENT|EP.28|I'm Glad There Is You

あなたがいる(there is you)/それが嬉しい(I'm glad)という歌ですが、そんな思いがとどまり続けるケースはたしかに稀(hardly any stay in love)なのかもしれません。歌詞のなかには"I live to love, I love to live with you"(愛に生きよう、あな…

BLUE SMOKE SILENT|EP.27|If I Were a Bell

少年と少女がいれば、ボーイ・ミーツ・ガールを描かないわけにはいきませんでした。とっくの昔に僕自身はこんな季節を過ぎ、下手をすると息子さえも通り過ぎたかもしれない光景は、ただただ可愛く愛おしい。描きながら思ったのは、男は"おとこ"であろうと…

BLUE SMOKE SILENT|EP.26|The Lamp Is Low

この曲はラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』を流用したことで問題となったそうですが、僕は関係者ではないので気楽に楽しんでます。歌詞も素敵で、月明かりの高さ(the moon is high)と自身の明かり、つまり境遇の低さ(the lamp is low)との対比が効…

BLUE SMOKE SILENT|EP.25|Some Kinda Mean

EP.24の"Kind of"つながりで描きました。"Kinda"は"Kind of"を略したもので、"going to"を"gonna"とするのと似てます。英語圏の人たちは"ンア"と言いたいようで、リズムの後ノリの上手さは、こんなところにも秘密があるのかもしれません。Some K…

BLUE SMOKE SILENT|EP.24|Blue in Green

青と緑という色彩の近似性と相違性に関しては、各国の伝統色などを調べていくと面白いでしょうし、象徴的な心理作用も興味深く思います。憂鬱の青/癒しの緑、憧れの青/未熟の緑というふうに、反対であったり近かったり。この曲は、エヴァンスとマイルスの…

時間がもたらすもの|Time remembered

その昔、漫画を描きたいと思って鉛筆を手にとったことがありました。美術一家に生まれたので、うまいかへたかはともかく、絵は自然に描いてしまうほうだったと思います。妻と結婚するまでは、絵は描ける/描けないではなく、描く/描かないという問題なんだ…

BLUE SMOKE SILENT|EP.23|Sweet Rain

音楽はダジャレ(意味の置き換え)やアナグラム(言葉の並べ替え)に近いと思うことがよくあります。実際、優れた音楽家がダジャレやアナグラムを好んだというエピソードはよく聞きます。ビル・エヴァンスも、『NYC’s No Lark』はSonny Clark、そして『Re: P…

BLUE SMOKE SILENT|EP.22|'Round Midnight

モンク作品のなかでも有名で、ストレートに情感に訴えるこの曲を弾いてみようと、鼻歌まじりでピアノに向かったときの体験が忘れられません。FをのぞくCDEGABの6音にフラットのかかったEbマイナーだったのです。ピアノは平均律なのでたかが調性ではあります…

BLUE SMOKE SILENT|EP.21|Polka Dots and Moonbeams

夜のダンス会場でぶつかった相手が、エル・ファニングのような"上向きの鼻の素敵な女の子(a pugnosed dream)"で、瞬間的にパチパチっと(Sparkled on)恋に落ち、しかも相手も同じ思いで、彼女は水玉のドレスで月明かり(Polka Dots and Moonbeams)のな…

BLUE SMOKE SILENT|EP.20|Little Messenger

ギターではボディを叩く奏法が確立されていますが、同様のパフォーマンスをピアノでも見かけることがあります。ただピアノの場合は「〇〇奏法」というふうには、一定のスタイルがあるわけでもなさそうです。そこでいっそのこと、ドラムスもベースもピアノも…

BLUE SMOKE SILENT|EP.19|Tea For Two

多くの方と同じように、僕にも2人の祖母がいましたが、どちらも好きな人ではありませんでした。血の繋がりはあったものの、それがなければ近づきたくもない人たち。そういう意味では、父も母も兄姉たちも同様でした。おかしいのは僕のほうと大人ぶってみま…

BLUE SMOKE SILENT|EP.18|Empty Pockets

少年時代は、いつだってポケットは空っぽだったし、空はいつだって青かった。と言ってしまうと、あまりにも出来が良すぎるように感じるのは、拗ねた大人になってしまったからでは、きっとないように思います。むしろ少年時代のほうが、少年の心からは遠かっ…

閉じた目で見えるもの|ルドンのまなざし

Les yeux clos, 1890Odilon Redon*目を閉じて(1890年)オディロン・ルドン*油彩、カンヴァス44×36cm*模写(ペン画) たぶん10代最後の年だったと思うのですが、ルドン(Odilon Redon, 1840-1916)のこの作品を初めて見たときの柔らかな衝撃を覚えてい…

BLUE SMOKE SILENT|EP.17|Good Old Soul

オーディオ機器を通してジャズを愛好していると、これはいったい?と首を傾げてしまうことがあります。テクノロジーの進歩を信じるなら、過去の録音よりも最新録音が、過去の機器よりも最新機器のほうが良いはずです。けれど単純にはそうならない。むしろ、…

BLUE SMOKE SILENT|EP.16|Fire Waltz

ジャズの魅力については、その飽きのこなさに感心することが僕は多いように思います。理由の1つとして、きっと即興性(インプロヴィゼーション)もあるのでしょうけれど、僕たちは録音されたものを繰り返し聴いているわけで、やがては覚えてしまいます。つ…

BLUE SMOKE SILENT|EP.15|Embraceable You

僕の偏った妄想として、"Garrard 301"という往年の銘機は、どれだけ幸福を感じることがあっても、また反対にどれだけ不幸を得ようとも、安定した疲れの中に生きているような人が使うイメージがあります。若い人が使ってもいいのですが、世を拗ねた感じはあ…

BLUE SMOKE SILENT|EP.14|Moanin'

"Moanin'"とは、"morning(朝)"ではなく"moaning(呻く、嘆く)"という意味だそうです。ジャズが黒人たちの嘆き節(ブルース)から生まれたことや、公民権運動の50年代当時のことを思えば、あぁそうか…と静かに頷くしかありません。この4コマは『小…

BLUE SMOKE SILENT|EP.13|Saturday Morning

週末の手始めに何をして過ごそうか。もしもあなたがレコード愛好家であれば…と、アメリカの新聞記事のような気分で描きました。余ったターンテーブルマットを取り出してレコードを置く。霧吹きには、水とアルコールを混ぜた溶液が入っている。吹きかけた溶液…

舟越桂の造形力|存在するということ

Winter Book, 1988Katsura Funakoshi*冬の本(1988年)舟越桂*楠に彩色、大理石76 x 36 x 24 cm*模写(ペン画) 舟越桂(Katsura Funakoshi, 1951-)のことを僕が知ったのは、テレビドラマ『永遠の仔』(えいえんのこ)によってでした。天童荒太による同…

BLUE SMOKE SILENT|EP.12|Stairway to the Stars

島国である日本の多くの街がそうであるように、僕の住む街もまた、手を伸ばせば届きそうな場所に山と海があります。そのため澄み渡った冬の夜に山を見ると、道路の街灯と山頂のゲレンデの明かりが一直線につながり、さながら星々への階段のように見えること…

BLUE SMOKE SILENT|EP.11|Something To Remember You By

これも男女が恋愛の末に…という曲で、何か思い出になるものが欲しいと歌っています。そして" Something To Remember"でも良いところに"You By(それによってあなたを)"をつけることで、後ろ髪を引かれる思いが強まっているように感じます。この4コマの…

BLUE SMOKE SILENT|EP.10|Romain

全ての道はローマに通ず(All roads lead to Rome)と言いますが、この『Romain(ローマの)』を聴くとき、アルバムタイトル『Undercurrent(底流)』とあいまって、全ての流れは闇へと還る(All currents return into the dark)とでも言いたい気分になりま…

How to draw cupids|見たことのないものを描く

第9話でキューピッドを描こうとしたら、これまでに描いたことがないことに気がつきました。描いたことがなくてもふわふわと描けたりするのは、きっと見たことがあるから。でもキューピッドを見たことは、当然ながらありません。 そのため、仏ロココ時代に数…

BLUE SMOKE SILENT|EP.9|Candy

例えば、野球の神様やギャンブルの神様のように、様々な分野にはどうやら神様がいるらしいです。僕は日頃の行いが悪いので、そんな神様たちには出会ったことがないのですが、もしもジャズの神様がいたとしたら。きっと、一神教のような絶対的な価値基準を持…